仕事を辞めたい。20代の女性で、そう思いながら毎朝会社に向かっている人は少なくありません。「すぐ辞めるのは甘え?」「辞めたらラクになる?」と、答えが出ないまま時間だけが過ぎていきます。
先に伝えたいのは、我慢して心を壊すくらいなら辞めていい、ということ。ただ、知っておいてほしい仕組みがあります。辞めると「辞めたい気持ち」は一度ゼロに戻ります。でも、それはリセットされるだけ。何がその気持ちを溜めたのかを知らないまま移ると、次の職場でもまた溜まっていきます。
結論から言うと、辞める前に原因を「職場で消えるもの」と「持ち越すもの」に仕分け、面接で確かめる質問に変えておけば、同じ理由でまた辞めずにすみます。
- 辞めたいのは甘えじゃない
- 辞めても原因は持ち越される
- 原因を面接の質問に変える
仕事を辞めたいのは甘えではない
辞めたいと思うこと自体は、甘えではありません。我慢を続けて心を壊すと、回復に長い時間がかかり、次の仕事を始めることも難しくなるからです。「石の上にも三年」と言われても、経歴の傷より心の傷のほうが取り返しがつきません。
眠れない・食べられないは赤信号
次のような状態が続いているなら、転職より先に、心と体を休ませることを考えてください。
- 夜なかなか眠れない、朝早く目が覚める
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 休日も仕事のことが頭から離れない
- 好きだったことが楽しめなくなった
ひとりで抱えずに、心療内科などの医療機関に相談しましょう。厚生労働省の働く人の相談窓口「こころの耳」なら、電話のほかSNSやメールでも相談できます。
辞める前に休むという選び方
病気やけがで働けないとき、健康保険から「傷病手当金」を受け取れることがあります。仕事以外が原因の病気やけがで働けず、給与が出ないときに、休み始めて4日目から出るお金です。1日あたりの額は、ふだんの給与(標準報酬月額)を日割りした額のおよそ3分の2。同じ病気なら通算1年6か月まで受け取れます(協会けんぽ「傷病手当金」)。
見落としやすいのが、辞める前に休み始めることの意味です。健康保険に1年以上続けて入っていて、退職日に受給中か受給の条件を満たしていれば、辞めたあとも受け取り続けられます。ただし、退職日に出勤するとこの条件から外れます。限界のまま勢いで辞める前に、医師と、加入している健康保険の窓口に確かめてみてください。
眠れない・食べられないなら、辞める前にまず休む。
辞めても気持ちはリセットされるだけ
新しい職場は人も仕事も新鮮で、最初は「辞めてよかった」と感じる人が多いでしょう。ただ、気持ちを溜めた原因がそのままなら、次の職場でもまた同じように溜まっていきます。
次の職場でも同じものが溜まる
よくあるのが、こんなケースです。頼まれた仕事を断れず、気づけば毎日残業。上司にも相談できないまま疲れ切って退職します。転職先では最初こそ定時で帰れたものの、半年ほどたつと、また頼まれごとを全部引き受けて同じ状態に戻っている。
このとき、原因は「前の会社の残業」だけではありません。「断れない働き方」も一緒に持ってきています。職場を変えても、自分の側にある原因はついてくるのです。
「何が溜めたか」を書き出す
だから辞める前に、気持ちを溜めたものを書き出してみてください。「なんとなくつらい」ではなく、つらいと感じた場面を具体的に書くのがコツです。たとえば「月末は毎日21時まで残っている」「質問すると先輩がため息をつく」「頼まれると断れず、仕事を抱える」のように。
「人間関係がつらい」とまとめて書くと、次の章で仕分けられません。誰の、どんな言動がつらかったのかまで書くと、原因が職場にあるのか、自分の受け止め方にあるのかが見えてきます。スマホのメモに、1週間だけ記録するのでもかまいません。自分の強みや価値観まで整理したいときは、転職活動の始め方:自己分析編も役に立ちます。
辞める前に「つらかった場面」を具体的に書き出す。
辞めたい原因を2つに仕分ける
書き出した原因は、「職場を変えれば消えるもの」と「どこへ行っても持ち越すもの」に分けます。消えるものは転職で解決でき、持ち越すものは今の職場にいるうちに手を打てます。
| 辞めたい原因 | 職場を変えると |
|---|---|
| 長い残業・休めない | 消えやすい |
| 上司との相性 | 消えやすい |
| 給与・評価の仕組み | 消えやすい |
| 頼まれると断れない | 持ち越しやすい |
| 困っても人に聞けない | 持ち越しやすい |
職場を変えれば消えるもの
労働時間や給与、評価の仕組み、特定の上司との相性は、職場を変えれば消えやすい原因です。ここが中心なら、転職はまっとうな解決策と言えるでしょう。ただし、次の職場に同じものがないかを確かめないと、また同じ原因に当たります。
迷いやすいのが「仕事が合わない」という原因です。仕事内容そのものが合わないなら、会社ではなく職種を変えないと消えません。同じ事務職でも「電話応対が多いのがつらい」のなら、職場を変えれば消えることもあります。どちらなのかは、書き出した場面を見ればわかるはずです。
どこへ行っても持ち越すもの
断れない、完璧にやろうとして抱え込む、困っても人に聞けない。こうした働き方のくせは、職場を変えてもついてきます。持ち越すものは、今の職場が練習の場になります。
たとえば断れない人なら、「今日は17時までなら手伝えます」と条件をつけて引き受けるのを、1回だけ試してみる。一度できれば、次の職場では最初からそのペースで働けます。辞めると決めた職場なら、多少気まずくなっても失うものは少ないはずです。
持ち越す原因は、今の職場で1回だけ練習しておく。
消える原因は面接の質問に変える
消える原因が中心なら、転職先を選ぶときに同じ原因がないかを確かめます。求人票に「残業少なめ」とは書けても、あなたが困った原因が本当にないかまでは書かれていません。だから、原因をそのまま面接で聞く質問に変えておきます。
| 溜まった原因 | 面接で聞くこと |
|---|---|
| 月末の残業 | 繁忙期の帰る時間は? |
| 聞きにくい先輩 | 入社後の教え方は? |
| 評価があいまい | 評価は何で決まる? |
| 上司との相性 | 配属先の人数と年代は? |
質問は、面接の最後の「何か質問はありますか」で聞くのが自然です。不満から入らず、「長く働きたいので、繁忙期の働き方を教えてください」と前向きな理由をつければ、印象も悪くなりません。
見たいのは、答えの具体さです。「月末の1週間は20時ごろまで残る人が多いです」と数字や場面で返ってくる会社は、実態を隠していないと考えられます。反対に「みんなで協力しているので大丈夫です」としか返ってこないなら、入社後に同じ原因に当たるかもしれません。もう一度「月末の帰る時間はだいたい何時ですか」と聞き直してみてください。
前の会社を辞める理由の話し方は転職活動の退職理由の伝え方にまとめています。
辞めると決めたときの動き方
- つらい場面を書き出す1週間、気持ちが沈んだ場面をメモします。
- 2つに仕分ける職場で消えるものと、持ち越すものの2つです。
- 質問に変える消える原因を、面接で聞く質問にしておきます。
- 働きながら探す収入が途切れず、焦って決めずにすみます。
- 内定後に退職を伝える次が決まってから、上司に直接伝えましょう。
面接では聞きにくいことは、転職エージェントに頼んで企業へ確かめてもらう方法もあります。登録は無料です。担当者に原因と質問のメモを見せれば、求人を選ぶ条件も伝わります。
消える原因は、面接で聞く質問に変えてから応募する。
まとめ:辞める前に原因を仕分ける
仕事を辞めたいと思うのは甘えではありません。眠れない・食べられないほどなら、迷わず先に休んでください。そのうえで覚えておきたいのは、辞めても気持ちはリセットされるだけで、原因を仕分けないとまた溜まるということです。
今日できることは、スマホのメモに「今週つらかった場面」を1つ書くこと。それが、次の職場を選ぶ一番の材料になります。
- 心身のサインがあれば先に休む
- つらかった場面を具体的に書く
- 消える原因と持ち越す原因に分ける
- 消える原因は面接で確かめる